2009年新年号花卉園芸新聞にFLOSAIKAが掲載されました。
<内容は以下の通りです>
素人育種家がジャパンフラワーセレクションを受賞するまで。
<初めに>
6年前に育種を職業にしようと思い立った当時、誰もが辞めろと個人育種家の厳しい現状を説明してくれました。開発コストに対してあまりにも日本のマーケットが小さいため国際展開できない限り経営が行き詰まるのは誰の目にも明らかでした。すでに株式を上場し、国際展開している大手種苗会社ですら激しくM&Aを繰り返し、ますます激しくなる兆しが読み取れました。「どうやってたった一人で世界展開する上場企業と戦うのか」。
悩んだ末、育種テーマを絞り込み、身近になったITを駆使すれば個人育種家でも国際展開
できるはずだと結論付け職業としての育種を開始しました。
<育種を始めたきっかけ>
育種を始めようとした当時、私は防水メーカーと共同出資で設立した屋上緑化専門会社の役員をしていました。そこで屋上緑化向けに、当時はまだ珍しかった多肉植物の多量生産を行っていました。
国内外から多肉植物の品種を広く集め、試験を繰り返しましたが日本の屋上緑化に適した多肉植物は無く、唯一有望と思われたデロスペルマ(耐寒マツバギク)レイコウは花色が1色しかなく、花数も少ないなど問題がありました。
「多肉植物を利用した屋上緑化を日本で成功させるには新しい品種を作り出すしかない」と考え、自宅の裏庭で少しづつ試験を開始しました。世界中から情報を集めましたがデロスペルマの育種経験はなく、唯一アメリカの植物園でこぼれ種から新品種が得られたという情報のみでした。
<大切な出会い>
裏庭で屋上緑化向け品種の育成試験を細々と進めていた時、妻が角田ナーセリーに以前勤めていた事などがきっかけとなり、大切な出会いを頂き角田ナーセリーと共同で育種を開始する事となりました。
そんな中、経験の浅い私の育種を見かね、角田専務から紹介していただいた第一園芸の佐藤さんに技術的アドバイスを受ける事となりました。研ぎ澄まされた佐藤さんのアドバイスは、私が実践的な育種を身につける為に大きな役割を果たしました。
角田ナーセリーと第一園芸の佐藤さんとの出会いは今回受賞した品種の育成になくてはならいものでした。
<(まどか)カレンジュラ>
私の岡山県奈義町の農場は冬が厳しく、佐藤さんとの相談で、少ないエネルギーでも施設での育種ができる品目、性能が変われば大きく飛躍させられる品目としてカレンジュラを選択しました。「カレンジュラはうどん粉病に弱く寿命が短い。」この性質を改良するためにRHSの種子配布プログラムで得た北アフリカ原産のスフルテイコーサは不可欠でした。
「四季咲きで耐病性が強く、大きく広がるカレンジュラを育成する」という育種目標をたて育種を開始しました。試行錯誤の連続でしたがようやく最初の実用品種が完成した時、丁度角田ナーセリーが長野に木祖村農場を開設する事となり。供給体勢が整いました。
今回、ジャパンフラワーセレクションから2008年フラワーオブザイヤー、2008年ブリーディング特別賞を受賞た「まどかチーズトルテ、まどかアーモンドミルク」は私と角田ナーセリーが強力なスクラムを組み育種を進めてきた結果と言えます。
この受賞を素直に喜び、必ず成功すると信じて疑わなかった最愛の妻「路」に心から感謝を伝えたいと思います。
<新たな展開1>
2008年1月、私は2012年までの角田ナーセリーとの共同育種体勢を継続したまま、エクアドルに生活の基盤を移し、育種と種苗生産を行う現地法人 FLORSAIKAEcuador(FLORSAIKA CIA. LTDA.) を設立しました。
赤道直下のエクアドルは年間を通じて季節変化がほとんど無く、日本で行っていたように山上げと山下げを繰り返す必要がありません。また、台風や積雪の心配もないため大がかりな設備も必要ありません。FLORSAIKA-Ecuadorを通してエクアドルに設立した育種農場は、日本農場の3倍の面積があり、世代促進も2倍以上の速度で速められています。今回受賞した「まどか」の継続品種に加え他の育種品目も急ピッチに改良が進められています。近い将来、より性能を高めた品種を提供できることを楽しみにしています。
<新たな展開2:エクアドルに設立した FLORSAIKA-Ecuadorの活用>
栄養系カレンジュラの供給上の問題は、唯一、穂の採取効率の悪さです。
新技術を駆使する事で、かなり改善されましたがそれでも、夏場に母株を高冷地に移動せざるをえないカレンジュラの穂の生産は未だに大きな負担となっています。
FLORSAIKA-Ecuadorを利用してエクアドルからカレンジュラの穂を日本に真夏と真冬を含め、年間を通して安定供給できれば大幅な商品性能の改善が見込まれます。
今回の受賞に際して、エクアドルの可能性を信じて疑わず、「 世界展開する大手種苗会社と互角に戦える個人育種家になる」と決意を新たにしています。
